関節リウマチ、膠原病

はじめに

 町の診療所ですので、糖尿病や高血圧、甲状腺疾患等大きな病院ではそれぞれ別の診療科で診てもらっている疾患も病状が安定していれば併せて診ることが可能です。


患者様へのお願い

 他院に通院歴のある患者様は、できるだけ紹介状の持参をお願いいたします。
初めての診察時、お話を伺い所見を取りますと、患者様本人の理解している病状とは異なっていることがとても多いです。リウマチも含め膠原病は、発症時の診断とその根拠や治療歴が大切で、紹介状がありますと効率よく診療を引き継ぐことができます。お薬手帳と一緒に、できれば紹介状をお願いいたします。

 関節リウマチを心配されて当院を受診される方は、多くは最近の手指や手首・肘・肩・膝や足首・趾関節の痛みや腫れ、痺れ、朝の手のこわばり等の症状で受診をされます。
関節が痛ければ関節リウマチかといえばそうではありません。変形性関節症などの整形外科的な疾患の方も多いです(ただし両方の合併はあります)。当院では、現在の関節痛・関節炎が関節リウマチからのものかを先ずお教えできるよう、問診、身体所見、レントゲン、採血、場合によっては関節エコー、MRI(病院で撮ってもらいます)等の検査を行っております。また、関節が痛いと言われて来院される患者様の中には膠原病の方も一定割合いらっしゃいますので、最初の検査の中に最低限の膠原病に関する検査を入れております。こちらが疑われる場合には、説明をさせていただき、更に検査をしてまいります。
膠原病の場合は、感染症でもないのに下がらない発熱、顔の紅斑や手足のレイノーなどの皮膚所見、繰り返す口内炎や口腔や目の乾燥、両下肢の痺れや紫斑等で受診される方がほとんどです。それぞれ身体所見を取らせていただき、問診と合わせて検査を進めてまいります。膠原病と言いましても20疾患以上あり、多くの特殊なマーカーが知られております。検査料が高いものが多いこともあり、なるべく必要最低限の検査を心がけてまいります。

疾患により、また疾患活動性の高い場合には、患者様に説明の上適切な病院へ紹介させていただいております。


関節リウマチ

関節リウマチの治療は大きく変わりました

 関節リウマチは、自己免疫疾患であり免疫の一部異常により引き起こされます。 関節破壊を引き起こすメカニズムは解明されてきており、それに対応して新薬が続々と開発され、少し以前には有効な治療法のなかった関節破壊の進行を大幅に遅らせることができるようになりました。 予後を良くするためには早期発見、早期治療が必要で、治療法の中心は薬物治療です。 当院では、患者様に合った薬剤の選択と予想される副作用のモニターをしながら診療を進めております。


関節リウマチの原因は

 本来外敵から身を守るために備わっている免疫システムが、自分の組織(関節滑膜)を間違って攻撃してしまう自己免疫疾患です。自分の免疫が自分の組織を攻撃してしまう原因につきまして、ウイルス感染が引き金となり自身の遺伝的背景や環境因子(喫煙やストレスなど)が関わりあい、ウイルスを排除しようとした免疫が自身の組織である関節滑膜に炎症を引き起こし関節炎が起こしてしまうと考えられています。


診断について

 「自分はリウマチ因子が陽性だから関節リウマチだ」と言われて来院される方が時々いらっしゃいますが、従来のリウマチ因子(RF)が陽性の方は日本人の約5%(20人に一人)もいるのに対して、関節リウマチの方は約0.6%(170人に1人)しかおりません。しかもリウマチ因子陰性の関節リウマチの方もいらっしゃいます。

リウマチ因子が陽性であることは診断のための一つの根拠ですが、ほかに関節炎を起こしている関節の場所と数、炎症反応の上昇や画像所見を合わせて総合的に診断してまいります。

現在は関節リウマチの早期発見早期治療が予後を良くするために大切とされ、その目的で提唱されたアメリカリウマチ学会作成の分類基準が広く用いられています。


治療法について

 以前のステロイドに頼った治療からは大きく変化しています。
 現在関節リウマチの治療薬の中心はメトトレキサート(MTX)です。日本では1998年に承認され使われるようになりましたが、その後使用量の制限が緩和され、腎臓や肝臓に問題がある人を除いて最初に使う薬となっています。更に関節リウマチの発症メカニズムの解明とともに関節炎の増悪物質(サイトカイン)あるいはサイトカインの細胞受容体を狙い撃ちする注射薬(生物製剤)等の登場で、関節リウマチの進行は止められるとまで言われるようになりました。また更に細胞内シグナル伝達を阻害することで炎症反応の進行を抑える薬(JAK阻害薬)まで登場し、リウマチ治療の選択肢がびっくりするほど多くなりました。
数多く開発された関節リウマチの治療薬の使い方についても臨床的な検討が続けられ、関節リウマチと診断されると、使用可能な患者様にはまずMTXを導入します。効果と副作用をきちんと評価しながら増量を行い、それでも効果不十分な場合には、従来の抗リウマチ薬や生物製剤、JAK阻害剤等を適宜選択して併用していく方向性(日本リウマチ学会のガイドライン)が出来上がっております。
当院はこのガイドラインに沿いつつ、一人一人の患者様の状況に合わせて治療の選択をしております。


効果の高い薬を使うということは

 副作用の問題もクローズアップされてきております。関節リウマチの治療薬は、基本的に免疫抑制薬です。普段の風邪や肺炎に通常よりも注意が必要であることは勿論、自覚なしに感染し普段はおとなしく共存している結核菌やB型肝炎ウイルスにも注意、対策が必要です。また抗生剤では治すことのできない間質性肺炎を引き起こすリスクが高まります。更に肝臓や腎臓に障害を持っている方は薬の副作用が出てきやすく、使用できる薬に制限が出てきます。その他各薬剤それぞれの副作用に注意して診療をしていく必要があります。


内科のリウマチ専門医とは

 これまで説明させていただきましたように、関節リウマチは免疫の誤作動によっておこるため免疫抑制剤が奏功する疾患です。画期的な治療薬の相次ぐ登場の結果、関節リウマチは早期発見早期治療が大切であると考えられるようになっており、それに合わせて診断方法まで変わってきました。関節に重大な障害を起こしてしまう前に高い効果のお薬で病気をコントロールするのですから、関節リウマチは関節に問題の起こる整形外科的な疾患でありますと共に内科的な疾患となっております。当院は内科のリウマチ専門医であります立場から、薬の副作用に目を配った関節リウマチ治療を心がけております。



膠原病

 リウマチ専門医は膠原病専門医です。当院は膠原病の気軽な窓口診療所として診断、診療を行い、活動性の高い患者様には適切な病院に紹介するよう心がけております。
 膠原病は、免疫の異常により自分の組織に障害を与えてしまう自己免疫疾患の総称です。
皮膚、関節、血管、筋肉、様々な内臓に多彩な障害が出てきます。
感染症でもないのに発熱が続く、温度差で手指等が真っ白になるレイノーの出現、顔や体に紅斑が出現した、手の皮膚が厚くなり握ることができない、たくさんの関節が痛んだり腫れたりする、下肢の痺れや紫斑の出現、突然に起こる筋痛、口腔乾燥やドライアイ…、多彩な症状が現れます。最近はネットで調べて膠原病を疑い相談に来られる方も増えています。当院は気軽な窓口診療所として、診断、説明をさせていただきます。


当院で多く見られる膠原病

● シェーグレン症候群

 多くの患者さんを診断しました。当院では関節リウマチに次いで2番目に多い疾患です。

 口腔乾燥、ドライアイが特徴の疾患ですが、多関節痛で関節リウマチを心配されて来院、シェーグレン症候群と診断する場合も多いです(両方の合併の方もいらっしゃいます)。
この疾患の特徴は、合併症(関節炎、甲状腺疾患、自己免疫性肝炎、リンパ増殖性疾患、間質性肺炎、間質性腎炎、皮膚紅斑等)の多いことです。当院は合併症のモニターを行いながら、治療可能なものは当院で対応、必要な時には適切な病院を紹介させていただくようにしております。


● リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群

 どちらも突然発症します。60歳以上の方に多い疾患です。
 リウマチ性多発筋痛症は、トイレでしゃがむと立ち上がれない、両腕も側方に上げようとすると水平より上げられない、寝返りが打てない等の症状が特徴です。関節リウマチとは別の疾患です。RS3PE症候群は、両手背・両足背の浮腫みと痛み関節炎症状が強く出ます。どちらの疾患もステロイドによく反応します。
 悪性腫瘍の関連疾患としても知られており、診断した場合そちらも調べる必要があります。


● 全身性エリテマトーゼス(SLE)

 若い女性の方に多い疾患です。多彩な症状が特徴です。
 特徴的な皮疹(両頬の紅斑で蝶のように見える)、繰り返す口内炎、多関節痛、日光過敏、手足の浮腫み、長引く発熱・体重減少・リンパの腫脹、レイノー(寒冷刺激などで手指が真っ白に変化する)、繰り返す流産、このような症状のある方は一度受診をお勧めします。


● 強皮症

 手指が浮腫んで握りにくくなる、皮膚が厚くなり摘まみにくくなる等で気づきます。寒冷刺激で手指が真っ白になるレイノーを伴うことも多いです。肺線維症や、息切れで気づく肺高血圧、難治性高血圧や、難治性の逆流性食道炎・便秘症などの合併症が知られています。


● 多発性筋炎/皮膚筋炎

 持続する全身倦怠感や体重減少と共に、太ももや肩周囲の筋肉が痛く力が入りにくくなる疾患です。駅で電車のドアが閉まりそうになる状況で急ごうとしても急げず、周囲の人に次々抜かれるエピソードを聞かせていただいたことがあります。
皮膚筋炎は特徴的な皮膚の発疹(瞼の赤紫色の腫れ、手指関節背側の丘疹)と共に筋炎症状が現れます。筋炎症状のない皮膚筋炎の方もおられます。
胃癌や大腸癌の随伴症候群として筋炎症状が出現することがあります。


● 成人スティル病

 夜間に起こり毎日持続する発熱、関節痛、皮疹を特徴とする疾患です。
 夕方になると高熱が出て多くの関節が痛み倦怠感も強くなります。しかし朝には解熱して関節痛、倦怠感もなくなっているのが典型例です。皮疹はサーモンピンク様と書かれていますが、必ずしもそう見えるわけではないですね。 発症初期にはのどの痛み、咳を伴うことが多いです。


● 血管炎

 文字通り全身の血管に炎症の起こる疾患ですが、炎症を起こす血管(大型・中型・小型血管)や炎症を起こす血管の場所で症状は様々です。多くは発熱、体重減少、倦怠感、痺れ、紫斑などの症状で気づかれます。長引く発熱や体重減少など、症状・所見的にこれといった特徴のない方も多く、すぐには診断がつかずに病院での精査、画像診断などで診断される場合も多いです。


● ベーチェット病

 繰り返す難治性で深い口内炎、皮膚疾患(結節性紅斑(痛い!)毛嚢炎)、陰部の潰瘍、眼疾患(ブドウ膜炎)の症状から診断されます。他に関節炎、消火器病変や副睾丸炎等ともなったりします。すべての症状が一度に出ることは少なく、診断まで時間のかかる場合が多いです。 気になる症状の有る方は相談に来てみてください。


他の膠原病

混合性結合組織病
IgG4関連症候群
抗リン脂質抗体症候群
回帰性リウマチ
結晶性関節炎(痛風、偽痛風)
脊椎関節炎

なみき内科内科・リウマチ科・糖尿病内科

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