一般に膠原病は自己免疫疾患、リウマチ性疾患と近い意味で使われます。
背景に自己免疫異常がある場合が多く、関節炎を伴う場合が多いためと思います。
その他の症状として、 体重減少や持続する発熱,全身倦怠、朝の手指関節のこわばり、
繰り返す口内炎や皮疹、寒冷刺激で手指が白くなるレイノー、皮膚硬化や皮膚潰瘍、
カラ咳や手足のむくみなど多彩な症状を伴うことが多いです。
以下にしばしば遭遇する膠原病をご紹介します。
自身お悩みの症状で思い当たるものがありましたら、一度受診をお勧めします。
疾患によっては精密な検査、入院加療の必要な場合もあり、
その時には適切な医療機関へご紹介させていただきます。
シェーグレン症候群
渇き眼(ドライアイ)、口腔乾燥で気付かれる場合が多い疾患です。
このほか、関節炎,性交痛, 肺や腎臓の障害,リンパ腫を含めた血液疾患,
他の膠原病合併など多彩な病気を伴うことで知られています。
最近ドライアイが気になる、口が渇いて水を飲みながら食事をする、
虫歯が多くなった等の症状のある方は一度是非受診をお勧めします。
リウマチ性多発筋痛症
急に両肩・両股関節大腿あたりの筋肉が痛くなり、寝返りを打てない,
トイレでしゃがむと立ち上げれない,両腕を水平より上にあげられない、等の症状で悩まされます。
時に発熱を伴います。また頭のコメカミ部分の動脈炎を合併することがあります。
リウマチと名前はつきますが、リウマチとは違う病気です。
一般にステロイドによく反応して軽快することが多いとされています。
全身性エリテマトーデス
特徴的な皮疹(両頬の紅斑で蝶のように見える)、関節痛、繰り返す口内炎、日光過敏、
手足のむくみ、発熱・体重減少・リンパの腫脹、レイノー(寒冷刺激等で手指が白く変化する)、
繰り返す流産、このような症状がある方は一度受診をお勧めします。
成人スティル病
持続する発熱と関節痛、皮疹を特徴とする疾患です。
夕方になると高熱が出て多くの関節が痛み倦怠感も強くなります。
しかし朝には解熱していて関節痛も弱くなり倦怠感もなくなっている状態が続くのが典型例です。
皮疹はサーモンピンク様といわれますが、そのように見えないことも多いです。
発症初期にはのどの痛み・咳を伴うことも特徴の一つです。
血管炎
原因不明の発熱が続く、急な体重減少(1か月に3kg以上)、手足のしびれ感や紫斑の出現、
浮腫(むくみ)の出現等で受診され診断される方が多いです。
また肺疾患を伴うことも多く、呼吸器科で診断される場合もあります。
このような症状がある方は、一度診察をお勧めします。
多発性筋炎/皮膚筋炎
持続する全身倦怠や体重減少とともに太ももや肩周囲の筋肉が痛く力が入りにくくなる病気です。
駅で電車のドアが閉まりそうになり、急ごうとしても急げない,
周囲の人に置いて行かれてしまうなどの経験で病気を自覚する場合があります。
胃癌や大腸癌などの腫瘍病変の随伴症状として筋炎症状が出現することがあります。
強皮症
手指がむくんだり、手指の関節と関節の間の皮膚が固くなり手を握りにくくなります。
寒冷刺激等で手指が白くなるレイノーを伴うことが多いとされています。
便秘や逆流性食道炎等の消化器症状、難治性高血圧を起こす腎クリーゼ、
息切れで気付く肺高血圧症などの合併を起こしやすいです。
ベーチェット病
繰り返す難治性で痛みを伴う口内炎、皮膚の紅斑で有痛性で結節を伴うもの、
陰部の潰瘍、眼病変に様々な臓器症状を合併します。すぐに診断のつかない方も多い疾患です。
気になる症状のある方は一度相談に来てみてください。